NPO法人プラス・アーツ

防災は、楽しい。プラス・アーツ

レポート

楽しみながら親子に防災の教訓を伝える取り組み「イザ!カエルキャラバン!」が開催10年を迎えるにあたり、海外及び国内の実施団体が事例発表をし、取り組み方や独自のプログラムを紹介し、それぞれが抱える課題も「共有」するサミットを開催しました。第一部では発表団体に加え防災教育を実践する方をお招きし、見本市のように防災体験プログラムの実演をしてもらいました。参加者は体験を通して各プログラムへの理解を深めました。第二部では6人のゲストが取り組みの背景や地域で実施する際のポイントを分かりやすく話されました。最後は、参加者からゲストへの質問や実施にあたっての悩みの投げかけもあり、発表団体及び参加者は各国の開催方法やプログラムの作り方だけでなく、思いやチャレンジ精神、そして課題を共有しました。

■概要

日時: 2015年1月24日(土)13:30~18:00 (交流会18:30~)
場所: JICA関西
主催: 「学び合い・発信する防災教育サミット」実行委員会
(兵庫県、JICA関西、NPO法人プラス・アーツ)
協力: 阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター
来場者数:延べ310人

■招聘者・団体

[海外]
〇 イカプトラ氏(建築家・ガジャマダ大学建築計画学部 准教授)
〇 ラッティゴーン・ウッティゴーン氏(ゲームデザイナー・Club Creative代表)
〇 ボリス・サエス氏(チリ タルカワノ市リスク管理部 課長)
[国内]
〇 野田明宏氏(一寺言問を防災のまちにする会)
〇 吉川晶子氏(百合学院インターアクトクラブ)
〇 水津和幸氏(三井不動産)

■コメンテーター・ファシリテーター

室崎益輝(兵庫県立大学防災教育センター長)
永田宏和(NPO法人プラス・アーツ理事長)

第一部|教材紹介と体験
時間:13:30~15:00
国内の防災体験プログラムでは東北の学生が考案した紙芝居や、イザ!カエルキャラバン!防災体験プログラムの実演が行われました。海外のプログラムはタイから招聘したラティゴーン氏が制作した防災ゲーム3種やチリ、インドネシアで作られたオリジナル資器材を展示、紹介。国内外の防災教育の活動をまとめたパネルも展示しました。

 

第二部|海外事例発表
時間: 15:00~17:00
第二部ではスライドを使い開催地域で実施する際のポイントや経緯を各ゲストが発表しました。
防災訓練の指導者の養成に専門家が関わった事例や被災地のヒアリングを通して生み出されたプログラムのアイデア、小学校を巻き込み子どもから親に伝える仕組みを考えた例が話されました。

イカプトラ(インドネシア/建築家)
「子どもには可能性がある。体験したことを覚えリスクを軽減する。」
2009年から調査やデモンストレーションを実施。1)小学校義務教育課程の中に防災プログラムを取り入れた。2)担い手の養成に熱心に取り組んでいる。3)医師など専門家も巻き込んだ裾野の広げ方が紹介された。

ラッティゴーン・ウッティゴーン(タイ/ゲームデザイナー)
「津波の経験もいつかは忘れる。被災者が語った教訓を伝えるゲームを思い浮かべた。」
プーケットでの実践例を紹介。津波に対する備えを子供たちに分かりやすく、楽しく興味を持ちながら伝えるゲーム開発について語った。多言語版も開発し世界でシェアできるように目指すなど更なる発展に注目が集まった。

ボリス・サエス(チリ/タルカワノ市リスク管理部 課長)
「自分たちの町でどう適用できるかを考えた。小学校を巻き込み、学校安全キャラバンとなった。」
チリでのイザ!カエルキャラバン!やレッドベアサバイバルキャンプの様子を映像も交えて紹介。大人だけでなく子供や若い世代への防災教育が課題と発表。学校のカリキュラムにも防災を取り入れる。

第二部|国内事例発表
時間: 17:00~18:30
国内事例は、まちづくりとして実施する例、学校教育の取り組みの例、そして企業として地域に貢献するイベントとして取り入れる例が紹介された。
最後の質問の時間には参加者から団体への質問や悩みの投げかけもあり、発表団体及び参加者は各国の独特なプログラムの作り方や継続するポイント、そして課題を共有した。

(東京都墨田区/一寺言問を防災のまちにする会)
「防災の取り組みをきっかけに町の人や活動に愛着を持ってほしい。」
カエルキャラバンの効果として、新住民と旧来から住む住民とのつながりになっていることや、三世代で参加するきっかけになっていると話す。開催にあたっては初めての人も気軽に参加できるようにオープンな公園等で実施している。地域の文化を継承するプログラムも必要。

(兵庫県尼崎市/百合学院高等学校教諭)
「生徒が震災についてはじめて考えた。」
学校教育としてカエルキャラバンを取り入れた事例を発表。インターアクトクラブの部員が一年かけて震災学習やプログラムの練習及び準備を行い、地域に貢献するイベントをしたいということで開催された。各部活動ごとにプログラムを担当したり企業・消防とも連携している。

水津和幸(三井不動産株式会社 商業施設本部)
「思いを共有して館全体の取り組みに、やがては地域イベントにしていきたい。」
東日本大震災を機に首都圏のららぽーとなどで防災イベント開催。幅広い年代の方が多数来場する商業施設という場所を活かし、災害に関する知識だけでなく、すぐに実行できる震災対策など、一歩進んだ「防災」の知識や情報を分かりやすく提供している。

交流会|BOSAI食ケータリング/企業ブース/団体紹介
時間: 18:30~21:00
交流会は、登壇者と参加者が非常食のケータリングを食べながら自己紹介や意見交換を行う和やかなムードで行われました。プログラムの実演団体の紹介のほか、非常食メーカーのサンプルの試食も行われました。