NPO法人プラス・アーツ

防災は、楽しい。プラス・アーツ

課題

全国に3万7,000人ネットワークする組合員に向けて機関誌を定期的に発行している。その機関誌のなかで何かしら防災啓発につながるコンテンツを届けていきたいのだが、どのような企画立てて進めればいいのか。また機関誌自体は発行し続けているものの、なかなか開封して閲覧してもらうのにはハードルがある。

解決策

全国各地に組合員のネットワークがあることを活かして、過去に被災経験をされた組合員の方をインタビューし、様々な災害の教訓を集約しながら機関誌で発行する企画を提案。またインタビュー記事の1面にインタビューを受けられた方の写真が掲載されることで、職場の同僚や家族など必ず見てくれる人の母数を増やすことにも繋がる。

JSGUだからできる防災、はじめます。

地震、津波、台風や感染症など私たちが暮らすこの日本では年々災害の激甚化・複雑化が進んでいます。もはやこの日本で暮らすことは災害とともに生きることと言っても過言ではありません。しかしながら、こういった数多くの被災経験がある私たちだからこそ、できることがあるはずです。それは被災時に本当に困ったこと、備えておいて助かったこと。その経験を教訓として共有し合い、自分たちの暮らしに活かすことです。全国の組合員の皆様とつながっている私たちJSGU。そのネットワークを活かし1人でも多くの方と被災時の想いや教訓をこの場で分かち合うことで、より安心で安全な暮らしのきっかけをつくっていきたいと思います。

TSUNAGARU BO-SAI KITとは?

11月号・1月号・3月号・5月号・7月号・9月号と隔月で組合員機関誌と一緒にインタビュー記事が同梱されて組合員の手元にとどきます。最終的に重ねてつなげると暮らしに役立つマニュアルが完成!自宅の冷蔵庫脇など手に取りやすい身近な場所にかけて普段からご覧いただくこともできます。

1月号:能登半島地震のこと

元旦に家族団らんで過ごしていたお昼間、甥っ子さんたちとゲームで遊びまわっていた際に地震が発災。まさか自分が被災するなんて思ってもみなかったし、ハザードマップも見ることがなかった石川在住の組合員さん。この経験から組合活動で出張されるときにはお嫁さんから「災害キットボトル」が手渡されるようになったのだとか。さらには輪島でも災害ボランティアとして活動され、今後も活動を予定しているとのこと。お話聞かせてくだいましてありがとうございました。取材を受けてくださった組合員さんから皆さんへのメッセージです。

 

「家族とイザというときの備えや避難をどうするかなど、少しずつできることからやっていきましょう。」

3月号:東日本大震災のこと

今から14年前に発生した東日本大震災を経験された3人の組合員さんたちに会いに行きました。当時は営業で得意先にいた、病院で働いていた、学生で実家にいた、そのときに体験した三者三様の光景と、そのあとそれぞれが経験した被災経験を色濃くお伝えいただけました。なかでも印象的だった、ある組合員さんのお話を少しだけ。当時彼が暮らしていた三陸歌津町の漁師町は被災の影響により深刻な食糧や飲料不足に陥りました。そのときまだ中学2年生であるにもかかわらず勇気を出して、町を代表し友人とともに車で隣町まで食材の支援を依頼しに周ったり、動かなくなった自動販売機を壊して飲み物を配ったりしたとのことです。さいごに取材した組合員さんたちからお預かりしたメッセージを皆さんに届けます。

 

「命を一番に大事に考えてほしいです。二次被害の恐れもあるので、現場などを見に行かないようにしてください。」

 

「私が住んでいる町は港町なのですが、亡くなられた方々は、地震がきてから外へ一度出て、津波が来るまで時間があると思い家に大事な物を取りに帰ってしまい、津波に巻き込まれてしまったと聞いています。忘れ物があったとしても、地震がきたらできるだけ海から離れて逃げることが大事だと思います。命に代えがたいものはないので、まずは逃げることが大事です。」

 

「実際に災害が起きたら、そのとき指示してくれる人はいません。普段から自分で考え、決め、行動できるようにしておきましょう。」

5月号:新潟中越地震と新潟中越沖地震のこと

2人の組合員さんに2004年に発生した新潟県中越地震の話と、2007年に発生した新潟県中越沖地震の話をそれぞれお伺いしました。中越地震を経験された組合員さんは当時学生でした。ご家族と友人と自宅から飛び出し、数日間の車中泊を経験。ご実家が買いだめしたり、鍋がお好きな暮らしぶりから食料やガスボンベの貯えが幸いしたこと。中越沖地震を経験された組合員さんは発災によって自宅の家具が軒並み倒れてしまった衝撃から、新たなに建てたご自宅の家具は全て転倒防止対策をされたこと。やはりいつもの暮らしをどれだけ整えておくかが、もしもに繋がってくるのだなとあらためて実感したお話でした。お二人とも夜分にお時間いただいて本当にありがとうございました。最後にお二人方それぞれからお預かりしたアドバイスとお届けします。

 

 

「食料の備蓄、缶詰、カップ麺、袋麵、水、ガスボンベなどの買い置きはしておいた方がいいです。あと、トイレットペーパーは余分に2~3袋備えておきましょう。」

 

「地震に対する備えはしておいて損はありません。家具はできるなら背の高いものは避けた方がいいと思います。」

7月号:広島豪雨土砂災害のこと

2014年に広島で発生した8月豪雨土砂災害を経験した組合員さんに会いに行ってきました。起きて実家の勝手口から外をのぞいたら、土砂崩れで目の前が崖状態の光景を目の前に広がっていました。そのまま生活するにはあまりにも危険な状態となってしまったため、急いで家のゴミ袋に着替えを詰めておじいさんたちの家に緊急避難されたそうです。その後にお母さんを支えながらはじめて対応する罹災証明手続きは困難を極めたそうです。そのご経験を通じての組合員さんから皆さんへのお言葉です。

 

「まず発災時は身の安全確保を最優先にしていただいて、次にできたら被害にあった資産、たとえば家屋や車などの写真をとにかく撮っておくことをお勧めしたいですね。これを行っておくと、支援金・補助金の申請がスムーズになります。」

9月号:北海道胆振東部地震のこと

2018年に発生した北海道胆振東部地震で被災したお二人の組合員さんたちに会いに行ってきました。お二方ともご両親が飲食業を営んており、かつ住まいは当時マンション暮らしとかなり似た境遇でありながら、経験された被災での苦労は異なるものがありました。共通していたのはスマホに関すること。災害時に大切な家族や友人と連絡が取れなくなるのはとても不安を煽ります。停電時は日が暮れたらあっという間に真っ暗になり、余震が怖くてロウソクも使えなくなります。スマホのライトを照明代わりに…とも思ってもそこで電源を使ってしまうことを考えると照明として使えなかったとうです。身近なアイテムだからこそイザというときにその必要性に迫られるということですね。最後にお二人から皆さんへのメッセージをお届けします。

 

「カラのコンビニなんて普段見ることないかと思いますが、災害時には本当にその姿になります。必要なときに買いに急いでも無いので普段から備えておきましょう。備えておけば安心感と心に余裕ができて次の行動がしやすくなります。」

 

「備えあれば憂いなしです。地震が起こったときからその翌日にかけて、携帯の充電など、家で普段できていたことが一切できなくなってしまい不便の一言です。いざというとき電気を使える方法を考えて備えておくべきですね。あと被災地ではどうしても買占めが起きるのですが「自分が良ければ、OK」という自分主体の考え方ではなく、個々で備えをすることで心に余裕を持ち、周りと協力して乗り越えていこうと思える人が少しでも増えればいいと思います。

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取材を受けていただいた組合員の皆様、あらためて貴重なお話お伺いさせていただきまして大変感謝申し上げます。本当にありがとうございました。皆さんの教訓が一人でも多くの方に伝われば嬉しく思います。

JSUGUの公式HPは下記のリンクをご覧ください。 https://jsgu.org/about/