NPO法人プラス・アーツ

防災は、楽しい。プラス・アーツ

課題

2015年に発生した地震により甚大な被害を受けたネパールであるが、自然災害に対する市民の防災意識は依然として低く、教育現場においても防災教材・防災の担い手が不足している。

解決策

教職員を対象に研修を行い、ネパールの学校現場における防災教育の担い手を育成するとともに、現地のニーズに合わせたオリジナルの防災教育プログラムや教育教材の開発を行う。また、ネパールの学校において持続的可能な防災活動の確立を目指し、研修を受けた教職員が中心となって防災教育クラブを立ち上げ、クラブの子どもたちと共に学校内外で防災教育の普及に取り組む。

防災教育の担い手育成と教材開発

プラス・アーツは2015年に発生したネパール地震以降、ネパールの学校現場における防災教育普及に取り組んできました。

カトマンズ盆地の5都市(カトマンズ市、ラリトプル市、バクタプル市、シャンカラプール市、チャンドラギリ市)の公私立学校の教職員を対象に研修を実施し、防災教育の担い手育成を目指しました。また、教材開発ワークショップを実施して、モデル教職員らとともにネパールオリジナルの防災教材を開発・制作しました。

学校現場における防災の取り組みが持続的な取り組みとして定着することを目指して防災教育クラブを立ち上げ、各校では研修を受けたモデル教職員らが中心となり、防災教育クラブを活用した防災の取り組みが行われています。

 

【プロジェクト報告書】
ダウンロードはこちら(PDFが開きます)
※報告書は英語で発行しております

専門家派遣(2015年)

2015年4月にネパールを襲った大地震後、ネパール国内における学校教育現場で、防災教育の重要性とニーズが高まりました。ネパール国民の多くは、日頃の自助・共助の意識、防災訓練への参加が乏しい状況のなかで甚大な被害を受け、多数の死者や負傷者が発生しました。

 

同年8月、公益財団法人東芝国際交流財団の海外支援事業により、カトマンズ市・ラリトプル市のモデル校を対象に「イザ!カエルキャラバン!(IKC)」の研修会を実施しました。モデル校の教職員向けに講義、オリジナル防災教育プログラムの開発ワークショップを行い、開発したプログラムのトライアルを目的に、モデル校の児童・生徒対象にIKCイベントを行いました。

また、モデル校の教職員や行政に対して、学校建物の被害状況や地震後の子どもたちの様子、防災教育に関するこれまでの状況と今後のニーズなどをヒアリングし、今後の防災教育支援に関する課題や要望の基礎調査を実施しました。

 

教職員へのインタビュー

IKCプログラム研修(なまずの学校)

ローカライズワークショップの様子

ローカライズされた教材(なまずの学校)

IKCイベント(なまずの学校)

IKCイベント(防災体操)

JICA 草の根技術協力事業

2015年のネパール訪問を経て、現地の教育現場では防災教育のノウハウや防災教育教材が著しく不足していることがわかりました。 また、教職員へのインタビューを通して、教職員らは防災教育に興味・関心があり学校で取り組みたいと考えているものの、 そのやり方や何を教えればいいのかわからないという実態があることがわかりました。

これらを受け、持続的な支援活動ができるよう、プラス・アーツはJICA 草の根技術協力事業の枠組みで、ネパール・カトマンズ盆地の学校・教職員を対象とした防災教育プロジェクトを開始しました。

フェーズ1(2017年1月~2018年1月)

フェーズ1では、モデル校の教職員が防災イベント「イザ!カエルキャラバン!」の開催を通して、基本的な防災知識や技を子どもたちに提供できるようになることを目指し、研修会やオリジナル教材の開発、防災イベントの開催支援を行いました。

 

2017年6月には「イザ!カエルキャラバン!」のプログラムをネパール版にアレンジするローカライズワークショップを実施し、10種の防災教育プログラムが導入されました。同年10月には新たにオリジナル教材を開発するワークショップを実施しました。

研修後にはモデル教職員らが中心となり、開発した教材を用いて子どもたちに防災を伝える「イザ!カエルキャラバン!」が各地で開催されました。

 

また、現地の教職員へのインタビューの結果やカウンターパートであるINSECからの助言を受け、ネパールの学校現場で持続可能な防災の取り組みの構築を目指し、ネパールの学校システムに位置付けられているクラブ活動を活用して防災教育普及活動に取り組むという方針が立ちました。

 

▼事業概要

JICA草の根技術協力事業|教職員を対象とした持続可能な防災教育⼈材育成と教材開発に向けた研修

ローカライズワークショップ

IKCイベント(非常持ち出し品暗記クイズ)

教材開発ワークショップ

IKCイベント(応急手当)

モデル校での教職員へのインタビュー

カウンタパートとの打合せ

フェーズ2(2019年1月~2020年2月)

フェーズ2では、モデル校に防災教育クラブを立ち上げ、研修を受けた教職員がクラブの顧問となり各校で日常的に防災教育活動が提供されることを目指し、防災教育クラブのブランディングやオリジナル教材の制作を行いました。

2019年7月に防災教育クラブの活動が本格的にスタートして以降、各モデル校ではモデル教職員やクラブメンバーにより防災教育クラブの活動が熱心に展開されました。

 

また、様々な関係者の協力により、防災教育活動の拠点となる防災ラーニングセンター(Mitra DRR Learning Center)が誕生しました。

 

▼事業概要

JICA草の根技術協力事業|学校における防災をテーマとしたクラブ活動の推進⽀援事業

 

▼関連リンク

Disaster Education Promotion Office|Mitra DRR Learning Center

防災教育クラブ活動計画ワークショップ

防災教育クラブのロゴマーク

現地デザイン事務所での教材制作打ち合わせ

完成したオリジナル教材

防災教育クラブキットの贈呈

防災教育クラブの集合写真

防災教育クラブの活動の様子

MITRA Disaster Risk Reduction Learning Center

フェーズ3(2022年8月~2025年8月)

フェーズ3では、防災教育クラブを更に強化し普及することに加え、防災教育クラブと地域コミュニティーの連携による地域での防災活動のモデルを形成することを目指しました。

 

教材開発ワークショップでは、現地教職員から特にニーズが高かった「建物耐震」「感染症対策」「心のケア」についての研修を行い、新たな教材を制作しました。また、モデル教職員が周囲の新たな学校に対し防災プログラムのレクチャーができるよう講師養成研修を行い、フェーズ1開始時点では10校だった対象校は、フェーズ3終了時点には50校まで拡大しました。

 

コミュニティーとの連携については、ラリトプル市のモデル地区を中心に、防災教育クラブがコミュニティーと連携して地域の広場に防災体験プログラムのブースを出展し、クラブメンバーが地域住民に対して防災を伝える防災イベントが度々開催されました。

 

防災教育分野の人材育成という観点においては、日本の防災教育のノウハウを直接学ぶ機会を提供するために本邦研修を実施し、モデル教職員の代表者らが日本の防災教育施設や学校現場を訪れました。

 

2022年には現地業務従事者が現地でNGO「Disaster Education Promotion Office(DEPO)」を設立し、事業終了後はDEPOが中心となって防災教育クラブの活動支援や防災ラーニングセンターの運営を担えるよう、ネパール側の事業関係者の人材育成にも力を入れました。

2025年8月にフェーズ3の事業期間が終了となり、プラス・アーツによるJICA草の根事業の枠組みでのネパールにおける防災教育の普及活動は節目を迎えましたが、引き続き防災教育クラブや防災ラーニングセンターでの活動を日本から応援しています。

 

▼事業概要

JICA草の根技術協力事業|学校のクラブ活動を活用した防災コミュニティーのモデル形成

 

▼関連リンク

Disaster Education Promotion Office

教材開発ワークショップ

教材のトライアルイベント

制作した教材(建物耐震)

モデル教職員によるプログラムレクチャー

本邦研修(堺市総合防災センター)

本邦研修(学校視察)

コミュニティでの防災イベント

ラリトプル市ネパール地震10周年イベント

効果検証

JICA草の根技術協力事業(3フェーズ)では、防災教育クラブの効果検証を実施しました。

防災教育クラブ活動によるクラブメンバーへの学習効果と、学校に防災教育クラブがあることによる周囲への波及効果を測定するため、防災教育クラブに入っている子どもたち(クラブメンバー)/クラブに入っていない子どもたち(非クラブメンバー)/クラブがない学校の子どもたち(コントロールグループ)の3つのターゲット層に対し、インタビュー・ペーパーテスト・アンケートを実施しました。

 

プレテスト/ポストテストと2回に分けて実施したペーパーテストの結果からは、下記の4つのことが分かりました。

※ポストテストはプレテストの半年後に実施

 

①プレテスト・ポストテストの両方で、クラブメンバーの能力値が最も高い

②クラブメンバーのプレテストとポストテストを比較すると、プレテストよりもポストテストの方が能力値が高い

③非クラブメンバーもクラブメンバー同様に、プレテストよりもポストテストの方が能力値が高い

④クラブがない学校の子どもたちより、非クラブメンバーの能力値が高い

 

このことから、防災教育クラブの活動によりクラブメンバーは防災知識が身についていること、クラブメンバーが、同一学校内で防災知識の伝播を行っている可能性があることが分かりました。

ペーパーテストの様子

インタビューの様子

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プログラム概要をまとめた
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企画を提案する際などにご利用ください。

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