HANDs!プロジェクト2017/2019
レポート
【 開催概要 】
HANDs!プロジェクトとは、国際交流基金アジアセンターが主催するアジア9ヵ国の若者向け人材育成プログラムです。4年目となる2017年度は防災+環境をテーマに3ヵ国の研修ツアーを開催。フィリピン、日本、インドネシアの研修ツアーの中で、それぞれのアクションプラン作成に向けて活動します。
今年度の日本ツアーでは、東京と東北(仙台・石巻)をフィールドに活動しました。そなエリア東京やせんだいメディアテークでアーカイブ・展示の手法について学び、今年10周年を迎えた関東で最大級の「豊洲BO-SAI EXPO」の視察では、震災の教訓から生まれた防災の知恵や技・協賛企業や行政との連携などについて学び、体験しました。震災遺構荒浜小学校の視察や石巻みらいサポートの車内案内語り部ツアーに参加し、東日本大震災について学びました。石巻2.0とのワークショップでは、「外国が訪れたくなる石巻を考えよう!」というテーマでワークショップを行いました。日本ツアー最終日は、新たな試みとして「HANDs!プロジェクト報告会」を東京で開催し、HANDs!プロジェクトの活動について広めることができました。
- 2017年度参加フェロー -(計26名)
日本:4名 インドネシア:5名 タイ:5名 フィリピン:5名
マレーシア:2名 インド:2名 ミャンマー:1名 ネパール:1名 カンボジア:1名
- 主催 -
国際交流基金アジアセンター
【 プログラム日程(HANDs!プロジェクト2017全体)】
・2017年10月8日(日)~10月13日(金) フィリピン研修ツアー
・2017年10月14日(土)~18日(水)日本研修ツアー
・2018年2月 インドネシア研修ツアー(1週間程度)
・2018年4月〜2019年3月 アクションプランを作成し、各国国際交流基金事務所に提出。(承認された場合には)企画したプロジェクトを実施。
※それぞれ各国にて5日間程度滞在し、関係機関へのインタビュー、コミュニティの訪問、ワークショップ等を実施予定。
【 テーマ「防災+環境」】
4年目となるHANDs!プロジェクトの2017年度のテーマは、気象変動や洪水・台風などの水害に対して、要員の一部として考えられる環境問題(地球温暖化など)も含んだ「防災+環境」をテーマとした研修ツアーを行いました。
10月に実施した第1回研修のフィリピンツアーでは「デザインシンキング」について学び、日本ツアーでは「防災」に焦点を置いた研修ツアーを実施しました。2月に実施する第2回研修のインドネシアツアーでは、今年度のテーマである「環境」をテーマに研修し、フェローは自国に戻った後、アクションプランに取り組んでいただきます。
【 スケジュール -(日本ツアー)】
10月14日 -防災ミュージアム視察・インプット-
課題に対して取り組みを起こして行く際に、プロジェクトを一過性のもので終わらせず、その土地の「地域豊醸化」を実現するために、「風・水・土・種・光」の枠組みにおけるそれぞれの役割を明確にし、自然なかたちで活動が土地に根付いていく仕組みをレクチャーしました。
M7.3、最大震度7の首都直下地震の発生から避難までを体験し、クイズに答えながら防災の知恵や技を習得しました。防災学習ゾーンでは、首都直下型地震をわかりやすく紹介するシアターや、PCによる防災クイズコーナー、世界の防災用品の展示等からアーカイブ・展示の手法について学びました。
総合アドバイザー永田より、日本国内での防災ミュージアムの在り方、過去の災害を次世代に伝える手法、その為の人材育成をどのように行っているかお話をして頂き、現在プラス・アーツが取り組んでいる、「中国成都市」や「フィリピンイロイロ市」でのミュージアムの展開について紹介しました。
10月15日 -防災体験プログラム視察-
総合アドバイザー永田から、「イザ!カエルキャラバン!」の開発経緯や楽しみながら学ぶ防災訓練の仕組みについてレクチャーをしました。その後、今年で10年目となる豊洲地区恒例の防災イベント「豊洲防災EXPO」の2つの防災イベントを視察しました。
ショッピングモールを会場にスタンプラリー形式で「家具の転倒防止」「防災備蓄品」「トイレ問題」など、暮らしの中での備えについてのアーカイブ方法や、協賛企業との連携について学びました。
10月16日 -フィールドリサーチ・インプット-
復旧・復興のプロセスを独自に発信・記録していくプラットフォームとして誕生した、3がつ11にちをわすれないためにセンターのプロジェクトについて、「記録する」というアクションで被災者と被災者外をつないでいること、またマスメディアとは異なる視点での「記録」を集めているという大きな特徴を軸にレクチャー頂きました。
震災遺構旧荒浜小学校を視察しました。2階まで津波が押し寄せた校舎のありのままの姿と被災直後の写真展示等による津波の威力や脅威を感じ、本校舎を震災遺構として公開している小学校を視察することで、東日本大震災の被害の大きさや、その後の取り組みについて体感しました。
被災地外の方の訪問が多く、街の将来像・復興事業の進行状況・地域の取組に関する情報等を見学できる施設で、石巻市内の被災と復興状況について学びました。その後、被災経験のある中央館館長のリチャード・ハルバーシュタット氏にご自身の震災体験をお話して頂き、震災当時の状況を知る機会となりました。
震災後、親しんだ獅子振りで地域を一つにという思いのもと立ち上げられた「女川獅子振り復興協議会」の活動や津波によって獅子頭が全て流された中、スリッパや風呂敷、座布団等の日用品で獅子頭を作ったお話をして頂き、実際に日本の伝統芸能に触れ、その継承について考えました。
10月17日 -「石巻」の震災復興へ向けたのワークショップ-
女川で30年以上旅館業を営んできた被災事業者4社が集まり、協同組合という形で2011年にオープンし、被災地初のトレーラーハウスの宿泊施設となった設立の経緯と震災後の取り組みについてお話をして頂きました。
みらいサポート石巻の語り部が同乗し、「車内石巻案内ツアー」を実施しました。石巻中心部を出発した後、石巻魚市場周辺や南浜・門脇エリアをご案内頂き、南浜つなぐ館を見学しました。実際に町の様子を見ることで、前日の学びをさらに深めることができました。
オープンスペースの提供をはじめ、フリーペーパーの発行、映画会の実施、商店街の空きスペースを外部の人に貸し出すといった不動産業など幅広い活動についてご紹介いただきました。
ワークショップでは石巻の魅力や外国人から見た石巻の目線を共有し、「もっと外国人を呼び込むためにはどのような工夫が必要か」という、石巻の豊潤化について、+クリエイティブな思考で解決策を考えるワークショップを行いました。
ブログなどのメディアの活用案や、石巻の特徴でもある「漁業」「マンガ」等をPRする仕組みなどをふまえた案が発表されました。外国人が困っていることや来たい・行きたいと思った場所への手段の構築など、インバウンドへの対応も考えることができました。
10月18日 -日本社会に向けた「HANDs!プロジェクト」の発信-
研修ツアーの最終日には、フェローおよびアドバイザーによる全体研修の総括をいただき、5日間の日本ツアーを振り返り、インドネシア研修に向けた宿題やアクションプランのガイダンスとテンプレートの共有しました。また、プログラム4年目となる今年の新たな取り組みとして報告会を開催し、デザインなどを使ったソーシャルな活動に興味がある方や防災教育活動について新たな方法を模索している方などを対象に、HANDs! プロジェクト2017/2018フェロー、アドバイザー等が見つけた新たな視点や生まれたアイディアについて報告を行いました。
【HANDs!プロジェクト掲載記事】
▼毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20171125/ddm/010/040/012000c